少年の町ZF(3)

恋人や友人や肉親までもが吸血鬼と化した町で少年たちは言いようのない孤独感を味わっていた。
無人の町から食料を集め教会に立てこもった11人は、生き延びるためのあらゆる可能性を試みる。
夜の闇の背後から、嫉妬と欲望を刺激して彼らの分断を謀ろうとする侵略者・灰(アッシュ)…。
まずは身を守る安全な場所を確保することが先決だ。
少年たちは砦を築く尖石原野を捜し始めた。
たび重なる灰の心理攻撃を、機知と勇気で切り抜けた少年たちはついに砦を完成させる。
力をあわせることで彼らの中に秩序が生まれ、笑顔が戻った。
新たな団結と微かな希望も生まれてきた。
だが灰の攻撃は執拗だった。
夜を徹して繰り広げられる「魔宴(フーガ)」の前に追いつめられた少年たちは、人間として生きていることの証明に、灰と戦う決意をする。
そんなとき囁き子の口から灰の正体が明かされた。
数々の思い出の残る慣性(モメント)の街に別れを告げ、少年たちは戦いの準備を始める。
それは侵略者・灰との戦いであり、自分自身との戦いでもあった。
酣の樹々で砦を包囲し、少年たちの心から愛を奪おうとする灰の攻撃はやむことなく続いていた。
少年たちはまず敵を知ろうと、慣性の町からアケミという一人の女性を連れてくる。
しかしアケミもまた灰の手先にすぎなかった。
アケミの血で慣性(モメント)人間となった月夫は、ひとり砦を去っていった。
友を失ったことで、彼らの緊張の糸が切れ、戦いの疲れはあきらめに変わり始めていた。
そんなとき囁き子が典明の子を身ごもる。
新しい生命の誕生に勇気づけられた彼らは、最後の力を振りしぼって反撃にのぞむ。
少年たちの愛と勇気は報いられるのか。
涙に心洗われる感動の結末とは?ゲーテの生涯をかけた大作。
高名なわりに読み通した人が多くないのは、韻文で書かれた戯曲という形式上の制約からといわれる。
本書は、原作のもつ重厚さを失わず、読みやすい“物語”にまとめて好評を博した一冊。
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